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2008年10月

2008年10月15日 (水)

DPTワクチンの予防接種

『小児疾患の部屋 第9話 DPTワクチンの予防接種』

さて、3回目はDPTワクチンの予防接種についてです。happy01

 DPTワクチンとは、正確には沈降精製百日咳ジフテリア破傷風混合ワクチンといい、百日咳菌(東浜株)とジフテリア菌及び破傷風菌の産生する毒素をそれぞれホルマリンで無毒化(トキソイド化)し、アルミニウム塩を加えて不溶性としたものです。このDPTワクチンは、大切な予防接種の一つです。

 DPTワクチンの接種は、3回の接種でまず十分な免疫を付け、からだに免疫を付けることを覚えさせ(基礎免疫)、その後に1回の追加の接種をすることで高い免疫を付ける接種の方法です。

 DPTワクチン終了後、11歳になった時に、低下した破傷風とジフテリアの免疫を高めるためにDTトキソイドの追加接種を行います。尚、この年齢では百日咳ワクチンの接種は必要がないためDPTではなくDTとなります。

 では、ここでそれぞれの病態について説明しましょうconfident

 1.百日咳(pertusis)

   百日咳菌が産生する毒素によって起こります。百日咳菌

  の飛沫感染によって、はじめは風邪のような症状が1~2

  週間続き、その後痙攣性の咳の発作と、咳が続き咳き込

  んだ後に特徴的な吸気性笛声(てきせい、Whoop:息を吸

  うときにヒューッという)があり、特に夜間に激しい咳の発

  作を特徴としています。

   発作性の咳は3~4週間も続き、次第に減少はしていき

  ますが、乳児ではこのような咳をすることができないため

  呼吸困難となり、肺炎や脳症を引き起こしやすくなります。

  特に生後6ヶ月前の乳児がかかると重症になるといわれ

  ています。

 2.ジフテリア菌(Diphtheria)

   ジフテリア菌が産生する毒素によって起こります。ジフテ

  リア菌の飛沫感染により次の症状を呈します。

    1)鼻ジフテリア

      乳児に多く,鼻汁に血液が混じってきます。

    2)咽頭ジフテリア

      一番多い病型で,幼児などがかかりやすく、喉の痛み、元気消失、

     嘔吐などの症状が主体で、発熱は38℃前後になることがほとんどです。

    3)喉頭ジフテリア

      幼児に多く、しわがれ声、犬の遠吠え様の咳、呼吸困難が特徴です。

 3.破傷風(tetanus)

   破傷風菌が産生する毒素によって起こります。けがをした

  時土壌中にいる破傷風菌が傷口に入って感染します。

   神経症状が主に認められます。口唇や手足のしびれ、

  味覚異常が初期に出現し、その後口を開けにくくなるとか

  全身けいれんが起こってきます。致命率が高く、自然感染

  による免疫が成立しません。破傷風は人から人にうつる

  病気ではないため、自然に感染して免疫ができることはな

  く、免疫を付けるにはワクチンしかありません。

では、実際の接種法にについてですcatface

  1)対象年齢と時期・回数

   ①Ⅰ期定期接種(DPT)

    ・Ⅰ期初回接種3回(基礎免疫)

     生後3ヶ月以上12ヶ月未満に、3~8週間の間隔をあけて3回受ける

    ・Ⅰ期追加接種1回

     Ⅰ期初回接種終了後12ヶ月以上18ヶ月未満の間に1回受ける

   ②Ⅱ期定期接種(DT)

     11歳以上13歳未満で、標準は11歳時に1回受ける

  2)接種料金

    無料

  3)接種量

   ①Ⅰ期定期接種(DPT)

    1回の接種量は0.5mLで皮下注射

   ②Ⅱ期定期接種(DT)

    1回の接種量は0.1mLで皮下注射

  4)接種を受けられない場合

   ①明らかに発熱のあるこども

   ②重篤な急性疾患にかかっているこども

   ③接種を受けようとするワクチンに含まれている成分によってアナフィ

    ラキシーを起こしたことのあるこども

   ④医師が不適当と判断した場合

  5)接種を受けるときに注意が必要な場合

   ①心臓病、腎臓病、肝臓病や血液の病気、発育障害などの基礎疾患

    を持っているこども

   ②前回の予防接種で接種後2日以内に高熱が出たこどもや、全身性

    発疹などのアレルギー性の反応を起こした事のあるこども

   ③痙攣(ひきつけ)を起こしたことのあるこども

   ④免疫不全の診断がついているこども、近親者に先天性免疫不全症

    の者がいるこども

   ⑤接種しようとするワクチンの成分でアレルギーを起こす恐れのあるこ

    ども

                    以上の場合は、接種医と相談して決める

  6)Ⅰ期定期接種を規定通りに受けられなかった場合

    確実な免疫を付けるには、Ⅰ期とⅡ期の接種を決めたとおりに受ける

   とが大切です。しかし、予定した日に受けられないことはよくあります。

   間隔が開いてもかまいませんので、生後90ヶ月になる前(定期の接種

   期間)にⅠ期の接種を規定回数受けるようにして下さい。

    尚、この場合の受け方につきましては、様々な場合がありますのでこ

   こでは記載しません。従って、必ず予防接種を受ける医療機関等に相

   談して指示されたとおり接種を必ず行うようにして下さい。

  7)副反応

   ①接種箇所が赤く腫れることがある(2~3日で消失)

   ②腕全体が腫れることがある(Ⅰ期3回目やⅠ期追加接種時)

   ③接種後にあまり念入りに揉むと接種局所でワクチン液が広がり、ワク

    チン液に対する反応が大きくなる傾向がある

   ④接種部位において小さなしこりが1~2ヶ月残ることがある

   

以上が、DPTワクチンの予防接種についてです。接種は4回でその後DTワクチンを1回接種して全てが完了になります。必ず忘れずに期間と回数を守って受けるようにして下さい。confident

次回は、麻疹・風疹についてです。

でわpaper

                 参考 : 予防接種の手帖<第八版> / 近代出版

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2008年10月 8日 (水)

ポリオワクチンの予防接種

『小児疾患の部屋 第8話 ポリオワクチンの予防接種』

さて、2回目はポリオワクチンの予防接種についてです。happy01

 ポリオ(Acute poliomyelitis、急性灰白髄炎)とは、ポリオウイルスの中枢神経感染により生じる四肢の急性弛緩性麻痺(acute flaccid paralysis:AFP) を典型的な症状とする疾患であり、かつては小児に多発したところから小児麻痺ともよばれていました。

 ポリオウイルスの自然宿主はヒトだけであり、糞便中に排泄されたウイルスが口から体内に侵入し、咽頭や小腸粘膜で増殖し、血流に入ります。血中を循環したウイルスの一部が脊髄を中心とする中枢神経系に到達し、運動神経ニューロンに感染増殖して脊髄前角炎をおこすと、典型的なポリオ症状が現れます。尚、感染から発症までの潜伏期間は4~35日間(平均15日間)です。

 ポリオウイルスが感染しても、90~95%は不顕性感染(感染後も無症状で経過するもの)でおわります。4~8%はカゼのような症状(発汗、下痢・便秘・悪心・嘔吐などの胃腸症状、咽頭痛・咳などの呼吸器症状など)にとどまる不全型で、これらの臨床症状からいわゆるカゼとの鑑別は難しいとされています。

 典型的な麻痺型ポリオは、1-2日のカゼ症状の後、解熱に前後して急性の弛緩性麻痺が四肢に現れます(だらんとした麻痺)。麻痺の部分は痛みを伴うため、カゼで発熱したこどもが解熱し始めた晩に「背中が痛い」とうめき、翌朝突然下肢の麻痺が現われるといったことが多くみられます。

 ポリオワクチンには、毒性を弱めたウイルスが入っており、このウイルスを接種(服用)することにより、ポリオに対する免疫(抵抗力)を付けることで感染を防ぎます。従って、予防接種を受けた人の中には、ポリオにかかったときと同じような症状(麻痺)を生じることがあります。

 1)対象年齢

   生後3ヶ月以上90ヶ月未満の間、標準として、生後3ヶ月以上18ヶ月

  未満の間に6週間以上の間隔をおいて2回

 2)接種料金

   無料

 3)接種方法

   経口ポリオワクチン(シロップ剤)を1回につき0.05mLを経口服用服用

   尚、1回目から6週間以上間隔を開け、必ずもう1回行う

                               (通常春と秋の2回)

 4)接種を受けられない場合

  ①下痢をしている子ども→治るまで不可

  ②先天的な免疫不全疾患と診断された子ども

 5)接種を受けるときに注意が必要な場合

  ①新生児期から乳児期に敗血症、肺炎細菌性髄膜炎などの重症な感染

   症を繰り返したことがある

  ②肛門周囲に膿瘍ができる

  ③発育が十分でない

                  以上の場合は、接種医と相談して決める

 6)接種した後の注意

  ①接種後(投与後)30分間は飲食をさせない

      → 服用したワクチンをミルクなどと一緒に吐きだしてしまう

         (投与直後に大量に吐きだした場合は、改めて投与)

  ②入浴や保育所・幼稚園での生活は通常通りで問題なし 

  ③服用後の子どものよだれや、糞便に排出された生ワクチンのウイルスに

   おいて、母親が免疫がない場合およびワクチンを服用していない免疫機

   能の低い子どもと一緒に生活することは、ポリオウイルス感染の可能性

   があるので避ける(接種後1ヶ月は注意する)

 7)副反応

  非常に稀ではあるが、弛緩性の麻痺を起こす事例が報告されている

                            (100万~200万人に1人)

   

以上が、ポリオワクチンの予防接種についてです。接種は2回で免疫がつくので、必ず忘れずに受けるようにして下さい。confident

次回は、百日咳・ジフテリア・破傷風(DPT)ワクチンの予防接種についてです。

でわpaper

                 参考 : 予防接種の手帖<第八版> / 近代出版

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2008年10月 1日 (水)

結核ワクチン(BCG)の予防接種

『小児疾患の部屋 第7話 結核ワクチン(BCG)の予防接種』

さて、今日からは乳幼児の実際の予防接種の受け方などについてお話し致しますhappy01

今日は、生まれて最初に受けなければならない、結核ワクチン(BCG)の予防接種についてです。

結核は、結核菌の飛沫感染によって感染します。小児感染の感染源の多くは、家庭内感染がほとんどです。子供は年齢が幼いほど、結核感染に対する抵抗力が弱く重症になりやすいため、なるべく乳児期の間にBCGを受けるように法律で定められています。以前は、ツベルクリン反応を行い、陰性の場合に接種していましたが、現在では直接接種に変更されました。

この結核の予防接種感染は、以前は結核予防法により行われていましたが、2007年4月からは予防接種法による第一種疾病として定期接種が行われるようになりました。

 1)対象年齢

   生後6ヶ月未満に1回

 2)接種料金

   無料

 3)接種方法

   9本の針を植え込んだ管針でスタンプ方式に押しつけるようにして2カ所

  に接種します。よくついた時には合計18個のぼつぼつが出来ます。数個

  しかできなかった場合には免疫のでき方が不十分になります。

 4)BCGを受けられない場合

  ①明らかに発熱がある

  ②重篤な急性疾患にかかっている

  ③結核、その他の病気の予防接種、外傷などでケロイドができやすい

  ④結核にかかったことがある

 5)BCGを受けるときに注意が必要な場合

  ①過去に結核患者との長期的接触がある

  ②その他結核感染の疑いがある

            以上の場合は、接種医と相談して決める

 6)接種した後の注意

   接種後は、BCGの液がよく乾いてから肌着に腕を通すようにします。接

  種した日は、子供が泥まみれになったりしないように注意します。

 7)副反応

  ①通常であれば、接種後1~2ヶ月後に局所に黄色いぶつぶつ(化膿巣)

   ができますが、接種後1週間以内に局所に発赤・腫張、あるいは化膿

   巣が出現したら、直ちに接種医療機関に受診してください。

  ②接種後3週間~4ヶ月くらいで、接種した部位がぐじゅぐじゅと湿り始め、

   長く湿潤した状態が続くことがあります。これは、結核菌とは違う非定

   型好酸菌に感染したことのある乳児がBCGを受けて、接種した部位で

   遅延性アレルギー反応(コッホ現象)が起こったためと考えられます。

                              (250人に1人の割合)

  ③接種後通常では、局所のびらんや潰瘍は4週間以内に自然に治ります

   が、4週間以上にわたって湿潤した状態が続くような場合は、接種医療

   機関に受診して下さい。

  ④接種後、接種を受けた腕の腋の下のリンパ節が腫れることがあります。

   通常は直径2cm位で、自然に小さくなり消失します。これは、BCGが

   型の生きた結核菌であるため、接種した部位からこの菌がリンパ流にの

   って、腋の下のリンパ節に達し、そこで増えることにより生じたものです。

   万一、皮膚に穴があいてリンパ節に達するほどになったら(症状が悪化し

   たら)、接種医療機関に受診して下さい(200人に1人の割合)。

以上が、結核ワクチン(BCG)の予防接種についてです。無料で接種できるのは基本的には6ヶ月までですので、忘れずに必ず予約して接種して下さいconfident

次回は、小児麻痺(ポリオ)の予防接種についてです。

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                 参考 : 予防接種の手帖<第八版> / 近代出版

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